2007年1月4日木曜日

RA診療のTrivial Q&A 1

Q:
「関節腫脹が目立たず、炎症反応も低値なのに、圧痛関節数・Patient's VASのためにDAS28が高い症例」 例えばTJC 20+SJC 0+ESR 10+VAS 80で DAS28 ESR 5.24といった感じ。
こういった症例でMethotrexateを増量しますか?
(by Rheum-dora)

A1:
http://www3.interscience.wiley.com/cgi-bin/abstract/113490201/ABSTRACT
ということで、やはりCRPも関節腫脹もなくても活動性のある人は昔からいるよう で、そこを経験でやっていたのですが、実感をつかむにはMRIやMMP3などの新しい (MMP3は僕にはスゴク新しいです)検査を導入して研修していくことも可能だとおも います。
でも、
http://www3.interscience.wiley.com/cgi-bin/abstract/113383833/ABSTRACT
とは矛盾しますね。K先生おすすめのRAPIDなどは患者さんからの情報だけでの フォローですから、MRI、MMP3の逆を行きますが、これでもRheum-dora先生は正しいことに なります。
(by SLIHAR先生)

A2:
痛みだけを強烈に訴える関節リウマチの患者さんは確かに結構いますよね。
僕はなかば自己流ですが、
1. 肉眼所見に十分反映されず、さらに局所に限定された関節炎にともなう疼痛
2. 関節破壊の結果として生じる力学的な疼痛
3. 心因反応
以上の3種類を考えながら対応する事にしています。
関節腫脹がはっきりしなくても、CRP以外の炎症反応(たとえばα1-グロブリン分画とか、α2-グロブリン分画とか)が微増していて、MTXを増量したら痛みもよくなった、なんていう症例は結構多いように思います。痛み閾値は個々で異なりますから、炎症反応が非常に地味でも強烈に痛みを感じるという のはあり得る事ではないでしょうか。ですので、僕はRheum-dora先生が書いていらっしゃる症例は1. に当てはまるのじゃないかと予想しますし、MTXの増量は関節破壊防止と言う観点から考えても至極真っ当な判断だと思います。
炎症が完全におさまっていても、関節破壊、運動時の疼痛が強い症例なら、2. 関節破壊の結果として生じる力学的な疼痛が多いのでNSAIDを使用してなんとかすることにしています。(欧米ではブプレノルフィンの貼付製剤なんかを使うようですね)僕を含め、内科系のリウマチ専門医は関節X線の評価がおろそかになりやすいので、これは自戒の意味も込めて挙げておきます。
しかし、困るのは関節破壊もない、腫脹もない、炎症もまったくない、でも圧痛は強烈、という3. 心因反応の要素が強い症例ですよね。これには試験的経験的に抗うつ薬を使用してみることにしています。エビデンスも何もないような話ですが、少なくとも 僕はこれでかなりうまくいってます。
(by H先生)

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