2007年9月20日木曜日

Harvard CME course: Advances in Rheumatology

 Rheum-dora@ボストンです。HarvardのContinuous Medical Education course: Advances in Rheumatologyに参加しております。
 小生は最終日午前のセッションをスキップして帰国しますが、非常に興味深い講義を受けることができました。MMFとRituximabは今後使いこなせないと話にならんな~と思いました(日本でそうするには色々問題はありますが)。

 肺疾患を合併したRA症例は全般的にあまりないようで、"Panel on RA"でDrs Weinblatt, Moreland, Ritchlinに質問したのですが、
〔東京都立K病院 M先生の質問〕 RA, Sjogrenでdiffuse ILDのある症例のManagementは?
Dr. W「...経験ある?」
Dr. M「いや...」
Dr. R「うちで一例、ILDのある症例にArava使ってるけど...」
Dr. W「でも日本からSevere lung injuryの報告があるよね」
Dr. M「うーん...」
Dr. W「...次の質問いこうか」
〔小生の質問〕 肺のNTMが治療にも関わらずSlowly progressiveなRA症例のManagementは?
Dr. W「どうしよっか?」
Dr. M「うーん...」
Dr. W「Real world questionだよね...」
Dr. R「Methotrexateかな?」
Dr. M「うーん...」
Dr. W「...次の質問、いこうか」
と、ちゃんとした解答は得られなかったのでした。

  面白かったのは、Dr.Weinblattが「Brigham WomenでRemicadeを使っている患者の平均Doseは 5mg/kg q6wkだ」「逆にClinical remissionの症例では積極的にBiologicsの間隔を空けて離脱を考えている」とコメントしていた事です。後者については会場の Rheumatologistsの間で意見が分かれていました。最近の「分子リウマチ」で、日本医大名誉教授 吉野先生が(自分の開業してからの Practiceについての話題で)「エンブレルも多くの症例で間隔を空けて中止することが可能である」とコメントしておられ、Expert's opinionとして傾聴に価すると思います。ベースにしっかりした量のMethotrexateを使用することが前提になりそうですが...

 RA治療におけるSystemic Glucocorticoidには、否定的な意見が多く聞かれました。COBRAみたいなことはあんまりしないと。欧州とのPractice patternの違いでしょうか。

 Goutのセッションでは、以前本MLでH先生にご教示いただいたAcute gout attackにKineret(attackから3日間)にも言及されており、会場でも使用経験のあるDrが1名いました(胃潰瘍+腎不全の症例)。

 Myositis のセッションでは、Hyper-CK-emiaの症例で軽度の上昇が持続していても、症状がなければ経過を追うだけで"Totally acceptable"だと演者の先生は言っておられました(U. PittsburghのDr. Oddis)。もし何か検査を追加するとすればEMGで、それがOKなら良いでしょうと。Statin内服中でCKの軽度上昇が持続してもStatinを 中止する必要はなく、上昇傾向が見られたら"Coenzyme Q10"を使用する、とも(実際米国のCardiologistはそのようにしているようです)。

 "Corticosteroid in Myositis"の以下のスライド内容は若干意見が分かれるかと思いましたが、会場から特に質問は出ませんでした。
・Begin divided dose prednisone at 60 mg daily (20 mg tid)
・Continue until serum CK falls to normal
・Consolidate to single morning dose
・Taper by 25% existing dose q 3-4 weeks to 5-10 mg daily maintainance dose
・Continue until active disease suppressed one year
・Improvement in strength lags behind CK improvement

 What's new in basic scienceのセッションでは猫も杓子もTh17, CD4+CD25+FOXP3+Tregといった昨今の風潮が正確に反映(?)されていました。日本の坂口先生のグループからの報告が多く紹介されていました。