(「高フェリチン血症の症例」より承前)
M先生、成人スティルのご経験がなくても先生がしっかりとした臨床医であるので、 病状もよくなっていて素晴らしいと思います。成人スティルはなんだかんだ言っても 珍しい病気で、アメリカでの大家のCush先生も年に1-2人新患を見る程度といって いました。
一通り読むなら Ann Rheum Dis 2006;65:564 572. がよいと思います。基準も、山口先生、Cush, Fautelと三つ並んで比較してあります し、各臓器の症状なども記述されています。 皮疹に関しては 治療と臨床 2002 1432 のものが日本人ですから見やすいので研修医の教育には僕は使っています。
皮疹は典型的には掻痒感のないものですが、発症当所は掻痒感がある ものもも珍しくありませんし、1日中出ていることもあり発熱とともに少し悪化と言 うこともあります。しかし徐々に典型的な皮疹になってくることがありますのであき らめずに観察することが必要と思います。僕の印象としては再発時のほうが典型的な 皮疹が多いです。
・ASDを診断するにあたり、何をもって確定といえるか? に関しては、基準があるぐらいですから結局はこれを参考にしながら除外診断となる と思います。Rheum-dora先生も書かれていましたが、基準を満たしても満たさなくても診断を除外も確定は出来ないのはSLEと同じです。でも、100%確定しないと治療が出来ないわけではないので、治療が禁忌となるような別の疾患でないことをある程度確定してからは診断的治療と言うことも考えてよいと思います。ということで、今回 NSAIDを開始されたことは的確な判断だったと思います。以前、アメリカ時代にNSAID 恐怖症的なチームがいつまでもNSAIDはじめずに心外膜炎になった症例を見たことがあります。
・NSAIDはどのくらいの期間使用するのか?
誰か答えをご存知でしょうか?CRPが上がっていますので、これと臨床症状を見て、となると思います。炎症が消えて症状がよくなってから僕はEBMではありませんがTaperします。
・ステロイド導入(もしくは他薬剤)のタイミングは?
NSAIDが無効または禁忌の場合ではないでしょうか。発熱、関節症状だけならNSAID開始し少なくとも数日は様子を見て。改善傾向なら7-10日間はどれくらいよくな るかを見ています。1つでダメでもある程度効果があればNSAID変更もします。ナイ キサンが効かなければ、僕はインダシンはあまり使わないのであきらめることも多いです。皆さん、どうですか?もちろん、NSAIDつかっても悪くなるようならあまり長 く待つのはお勧めしません。
・ASDを治療するに当たり注意する点は?
サルコイドーシス同様にnever be sureじゃないでしょうか。特に診断当初はある程度ほかの疾患も常に疑いながら、注意深くです。NSAIDやステロイドはAOSDじゃなく ても一時的に症状がよくなることはありますので。あと、ステロイドをあまりだらだら使いすぎないことだと思います。もちろん必要な人はいますが、手首の関節症状だけとかなら関節内注射をお勧めします。関節炎だけのために長々と経口ステロイドが減らせないと言うのは、他の臓器に問題が起こりにくい疾患としては避けたい所です。
(by SLIHAR先生)
AOSDはIL-1 antagonist anakinraが著効するのですが日本にないのが本当に悩ましいです。
☆ ASAs and/or NSAIDs
1/4ぐらいは効くといわれています。これの根拠となったのがカナダから62例のCohortです。Pouchot et al. Medicine 1991 どのNSAIDsなのか記載はありません。また反応した群は予後がいいという記載もありました。 ただASA/NSAIDsに関してはsalicylateのレベルを15-25mg/dLを超えないよう肝機能をみながらやりますがそれがすぐにできない日本ではそのようなDoseは使えません。たとえばアスピリンにして3-4gは使いますので。日本のレポートでもたしか3gぐらいまで使ったのはあったかと思います。
Taperについては私ももしSteroidが必要になるようであればステロイドを先にTaperしています。Steroid Sparingとしての要素もある症例は経験されると思います。もちろんこのときも炎症反応(フェリチン>ESR, CRP)を診ながら、患者さんの訴えも聞きながらです。ときに線維筋痛症を合併していることもあるので注意してください。
☆ Steroids
ステロイドについてはSLIHAR先生ご指摘のようにNSAIDsが効かない群ということでしょうか。私は生命を脅かすものがなければPSL 0.5mg/kgで始めたりしますが効かないことも多く経験します。文献的には1/3が60mg/dayぐらいの量が必要になるということです。実際は数日0.5mg/kgでやって熱が下 がらなければ1mg/kgに増量することもあります。 あと一般的に予後が悪い因子として、Root Joint(肩とか股関節)、早期から多関節炎なものに関しては確かに関節の症状以外にも熱の下がりとかも含め0.5mg/kgでは効かない症例が多いと思います。
副作用も考え、PSLがなかなかTaperできない場合、MTXを少量(2.5mg)をくわえてもいいかもしれません。うまくいった場合、順番としてはTaperする順位はPSL>MTX>NSAIDsでしょうか。
☆ 治療で注意する点:
・原疾患の悪化 およびTTP, HPSなどの合併
・薬の副作用
・線維筋痛症の合併
☆ 皮疹について:
前胸部などの躯幹、四肢末端ではなく比較的近位の四肢というのはみなさんご存じだとは思いますが。当院に赴任し2例Urticarial vasculitisではと思うような24時間消退しないUrticariaのAOSDを経験しました。ともに四肢末端、足背、手背にもでていました。いわゆる典型ではないですが 、Urticariaの場合末梢にもでるのではと推測しています。掻痒はあることが多いので、あとは見た目とBiopsyですが。
(by K先生)
2007年1月20日土曜日
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